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中国、インドの労働争議に思うこと

 中国にある台湾企業の工場で自殺者が続出しているニュースが世界に流れ、これまで中国で見かけなかった労働争議が、日系企業にも拡がっていることが報じられています。一方、大国インドは英国の植民地だっただけあって、労働者が権利を主張する文化が根付いており、労働争議の頻発は有名です。

 「世界の工場」と言われた中国での賃金上昇、人手不足、労働争議は、日本企業にも新たな問題を突きつけています。しかし、これは起きるべくして起きていることで、今から約30年前の韓国でも同様な現象が起きました。韓国と中国の違いは、韓国がサムスンに象徴されるように海外市場に出て行くしかなく、中国は国内の巨大市場で発展していける市場規模の違いにあります。

 ここ数年、注目されているのは、中国では日系企業の下請けで成長した中国の中小企業が、欧米企業に乗り換える現象が多発していることです。同様に日系企業の下請け中国企業で働いていたエンジニアやマネジャークラスの中国人が、欧米企業に転職する現象も頻繁に起きています。

 中国の部品メーカーなどの下請け企業が日系企業から欧州企業に乗り換える理由は、製造コストの押さえ込みが少ないなど契約条件による例が多いと言われています。彼らは、品質管理や優れた生産ラインを持つ日系企業の下請けだったことでの評価を売りにして、欧米企業に高く売り込んでいるわけです。

 同様に転職の理由も、よりよい雇用条件を求めてのことなわけですが、日系企業で働いたキャリアで自分を高く売り込めるというのが彼らのキャリアアップの方法です。特に中国の高学歴者は貪欲なので、よりよい条件を求めて頻繁に転職する例が少なくありません。

 では、なぜ、欧米企業は、日系企業よりもいい条件で中国企業に仕事を提供し、あるいは労働時間が短いわりに高給を提供できるのでしょうか。日系企業は、そこを考える必要があるということでしょう。終身雇用や社員の福利厚生にコストを掛けてきた日本企業は、海外に出た場合、まったく違った発想を要求されることになります。

 転職、中途採用が自分の国で常識化している欧米企業では、見込める収益に応じてスキルを見込める人材を相応な待遇で雇用しています。欧州では、政府の福祉機能が強力なので、それなりの負担はあるものの社員への福利厚生費を過分に掛ける必要はありません。また、生産性の高さ、マネジメントの効率性は非常に大きな要素といえます。

 中国やインドでも優れた人材を確保し続けるには、それなりの待遇を準備する必要があり、不当に残業を強要するようでは、あっと言う間に転職してしまいます。となると欧米企業のように雇用者と被雇用者は対等であり、利潤を追求する会社側と、キャリアを積み、よりよい待遇を求める労働者がWin Winの関係になるようマネジメントすることが成功の鍵になるのは自明の理です。

 愛社精神や会社への忠誠心を求めるのは、それらの条件があくまで整った上での話です。日本企業の社員の多くが、自分たちが長時間労働に慣れているために、気付かないことも多く、海外で人を使いこなすために特別な訓練が必要なことにも気付いていない場合も多いことに気付かされます。


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